それも一つの愛の形。
それが僕らだけの、愛の姿。
―LOVE―
ピーーンポーーーン♪
「新一くぅーんっ。あっそびっましょ〜♪」
ガチャッ
「快斗・・・おめーはどこぞのガキかよ」
ドアノブを回す音がした後、呆れ果てたような顔をして顔を覗かせたのは、かの名探偵工藤新一。
その横をすり抜け、さっさと部屋に上がるは、世界を股にかける大怪盗という裏の顔を持つ至ってフツー(?)な高校生黒羽快斗。
「ま、いーじゃんいーじゃん。さーて、アイスでも食べよっかなー」
「おい。いきなり人の家で勝手に寛ごうとするか、ふつー!?」
「いーじゃねーかよー。ホラ、新一にもアイスやるからさ」
「いらねーよ!んな甘いもんよく食えっよなー」
「何だよー新一いらねーの?んじゃ俺全部食べちゃおv」
快斗が持っている袋の中のアイスは軽く10個以上あるように見える。
「げっ、マジかよ!それ全部食うのか!?」
「当ったり前だろー?うーんデリシャスv」
品定めしていた快斗は、まず一つ目のアイスを取り出してスプーンにこんもりと掬うと、これ以上ないほど幸せそうにうっとりとその小さな口に含んだ。
「うげ・・・見てるこっちが気持ち悪くなりそうだぜ・・・」
新一は顔を顰めながらも、テーブルにコトリと、ジュースの入ったコップを一つ置いてやる。
「サンキュ。何だかんだ言って優しいなぁ、新一は」
にこり、と笑った快斗の笑顔が眩しくて、思わず目を逸らした。
照れ隠しに持っている方のカップから早速コーヒーを流し込んでいると、快斗の辺りから着信メロディーが流れ出す。
チャラッチャーチャーチャチャラチャ チャラッチャーラチャ♪
「ん?」
ごそごそとポケットを探る快斗君。携帯の画面を見るやいなや、急にわたわたしだし、乙女になり慌て出す。
ピッ
「はい、快斗です。警部こんにちは〜v」
何で警部からの着メロを、某片想い胸キュンvな感じのモノにしているのか、小一時間快斗に問い詰めたい新一であった。
『快斗君、今いいかい?誰かと一緒だったりとかは・・・』
「もっちろんいいですよーvあ、大丈夫です。もー暇で暇でっ。あ、で、何ですかー?」
(・・・おい、テメーは今俺ん家に来てんじゃねーのかよ!?)
思わず珈琲カップを握り締める新一君。あっ、そんなに力を入れてると割れちゃいますよ!
「いや、実は・・・。と、そうだ、快斗君アイス好きだっただろう?やはりアイスクリーム店に詳しいのかい?」
「そんな勿体ぶらないで下さいよ〜。あ、えと、はい!好きですっ。・・・あ、でも警部の事はもっと好きです!えへへv」
愛しの警部の為なら何でもする気持ちが快斗にはあったので、警部の躊躇いはまどろっこしかった。
警部が一度は頼ろうと思ったかもしれないのだ。言わないのなら自分で情報を掴んで何とか協力しようと考える始末だった。
「かっ、快斗君!?何を言ってるんだ!?///」
(快斗の奴・・・俺が居る事、ぜってー忘れてやがるな)
快斗と電話の向こう側のやり取りを複雑そうな表情で見つめながら、己の気持ちを落ち着かせる為にカフェインを取る新一であった。
「・・・はい。うん、それじゃ、またね警部v」
いつの間にか通話は終わっていたらしく、ソファーの上にピョンと舞い戻ってくる。
「快斗、テメーまた厄介ごとに首突っ込もうとしてんじゃねーだろーな?」
「そんなことないよー?」
あははと笑う快斗に、新一の機嫌はますます悪くなる。
何で、何時だって快斗は誤魔化そうとするんだ?
「それに、警部が俺の事、ちょっとでも頼ってくれたんだもん。危険かもしれないからって、俺、もう子供じゃないのにねー?」
きっと、警部にとって快斗はいつまでたっても小さな子供なのだろう。
それを思うと快斗は、嬉しくも切ない気分になるのだった。
そんな快斗の照れたような信頼し切ったような表情を見て、新一は胸の奥がツキンと痛むのを感じた。
これは、もしかして嫉妬 なのか・・・?
黒羽を・・・ 少しだけ 束縛したい気分だ
自覚すると共に快斗への愛しさがこみ上げて来て、思わず抱きしめた。
「新一・・・?」
「快斗・・・ちょっとだけ」
新一のいつにない態度に何かあったのかなと思い、快斗は父親に昔してもらったように新一の頭を撫でた。
ただ嫉妬しているだけだというのに、快斗の優しさに付け込んでしまっているようで。本当に弱っている時に快斗に見捨てられたらどうしようかとも考えないでもない。
新一が疲れてしまっている時、快斗はいつもからは想像も出来ないような優しさを滲み出させ、癒してくれる。
いつもなら快斗が新一にじゃれている事が多いのだが、時々、本当に珍しい事だが新一が快斗に甘える事があるのだ。
まぁ、いつもは快斗に甘えられてじゃれつかれているような状態なのだから、ギブ&テイクだと新一は考えている。
新一と快斗の関係は、あくまで友達であって恋人ではない。
顔も似ている事もあり、家族に近いものがあるかもしれないが家族では決してない。
一番近いものといえば、親友だろうか。
しかし、親友以上、なのだ。
親友以上、恋人未満。親友以上、家族未満。
しかし、それは時に恋人や家族では分かち合えないものを含み、それらを超える事すらある。
そして、これ以上に相手に踏み込みたいとも思わない。
しかし、どうしても・・・どうしても快斗に自分より大切なものがあるのが嫌で仕方ない。
快斗にはいつも笑顔でいて欲しい。
けれど、笑顔にするのは自分であって欲しい。
独占欲。
人はこれをそう呼ぶのだろう。
快斗を束縛出来る位置に自分は居ないというのに、独占したい。
そんな我侭が最近になって、快斗に恋人が出来てから、表に表れるようになった。
新一が快斗に甘える理由を、快斗は知らない。
<END>
BGM:『LOVE』Mr.Children
昔のブツを発掘。何だか続きものだったらしくこの後アイスクリーム屋で働く快斗君編へと続いていた・・・。