― 夏に降る雪 ―
青く蒼く碧い空の下、ただただ電車を待っていた。
陽射しが強い。
少々青みがかった快斗の目に、太陽から差し込んでくる光が、突き刺さってくるような既士感を覚える。
遮るものは、おざなりに設置してある小さな屋根くらいのもので、快斗は一度強く瞼を閉じてみた。
日に焼けた快斗の肌を、滴がツツ・・・ッと滑り落ちていく。
蝉の声が忙しなく鳴いており、ご苦労なこって、と一人ごちた。
何時からか俺は、この駅で、電車に乗っていく人々を見ている。
時々、乗り辛そうにしている者がおり、それはお年寄りだったり幼い子供だったり体の弱い者だったりする。
その人達の手伝いをした折に「ありがとう」とお礼を言われた時、俺の方が礼を言いたくなったのは何故か。
閉じていた、瞳を開く。
カタカタ、と。
人々は電車のソレに併せて揺れ、そして電車と共に目の前を通り過ぎていった。
一人の青年が、其処に立っていた。
何故。
其処に居たのは、工藤新一だった。
なぜ?
「工藤は、乗ってかないの?」
呟いたそれに、君はこう返したんだ。
「俺はいいんだよ」
ふっと微笑って、切符を破いて捨てた。
それは、ヒラヒラと、青の中を舞っていく。
青色の中の、白い小さなそれらは、まるで雪のようで。
「それよか、お前こそ乗らねーのか?」
僕には、それが無かった。
けれどキミは。
其れを自ら破いたんだ。
嗚呼、この人ってひとは。
なんて。
「・・・おまっ、何で笑ってんだよ」
「だって」
「・・・ま、いいか」
白い鳥がとても、嬉しそうだから。
END