「元の世界に戻りたいか?」
そう訊かれた時、微かにだが言葉に詰まった。
その一瞬で、主は何か感づいたようで、ほうと楽しげに目を細めた。
「此方の世界の者に情でも移ったか」
「・・・・・・」
「まぁよい。では再度、今度は違う質問をしよう」
主がだんだんと鎖白に近づいていき、その距離が残りわずかとなった時、その歩みは止まった。
そして。
「この世界に残りたいか?」
耳元で囁かれたのは、
「わかっておるな?私は・・・世界の主、だ。鎖白、お前を元の世界に戻すことも・・・この世界に留まらせる事も容易」
ドクン、と心臓が強く波打つ。
「聡いお前の事だ。・・・わかっておるのであろう?」
肩を、抱かれる。
それはあの銀の髪を持つ者がする行為とは違っていて。
抵抗しない鎖白を見て、主は少しだけ驚いたようだった。
「よいのだな?」
確認のように念を押され、それでも――――鎖白はその手を振り払わず。
唯一つ、首を縦に動かした。
――――――――その時思い出していた顔は、どちらの者であっただろう。
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