―ANGEL or BIRD―
「改めて初めまして、かな?俺、黒羽快斗っていうんだ〜♪」
初めて夜を翔ける怪盗の昼間の姿を見た時は目を疑った。
・・・こいつが?この、目の前でパフェを幸せそうに食ってるこの男があの怪盗?
そもそも、何故こうなったかというと。
街中で一瞬冷涼な空気に気付き、追いかけてその人物の腕を捕らえて。
振り向いたその男は、いや、まだ少年といっていい幼さだ。
そいつは、誰とでも仲良くなっちまいそうな人懐っこそうな笑顔を浮かべ、こう言った。
「やっと見つけてくれたんだ、名探偵」
それからそいつと少し話していたら、こんな所じゃなんだからと喫茶店に行きつき、冒頭のように少年は黒羽と名乗った。
お知り合いになりたかったんだ〜♪と呑気な相手。
確かに日の当たる時間に会うのは初めてだな。
怪盗と探偵がこうして話しているなんて変な話だが、
現場で捕まえなければ意味がない。
しかし・・・
「オメー・・・イメージ違ぇ」
「え〜、そかな?」
アイスにパクつく黒羽。
コイツがあの犯罪者・・・?詐欺だ。
「全然雰囲気違ぇじゃねーか」
「・・・もしかしたらどっちも俺じゃないかもよ?」
黒羽は、ふっと視線を落とすと、少しの間の後、しかし明るい声を出した。
「・・・で?俺にその姿で接触して来た理由は?」
俺は、自分が彼をそんな風にしてしまった原因だと焦り、すぐさま話題を転換した。何故、自分が焦っているのかにも気づく事の無いまま・・・。
いや、もしかしたら気付いていたのかもしれない。ただ、気付かないふりをしていたのかもしれなかった。
「探偵君にあの姿で会って宜しかったと?」
俺の内心を知る由も無い、目の前でアイスをパクついていた人物は、空気を一瞬で変化させ、あの怪盗のような雰囲気を醸し出した。
そんな空気を出すなんて、周囲にバレテもいいのか!?と思わせるような黒羽に俺は脱力し、一応注意してやる。
「急にあの白を思い起こさせるような空気出すなよ」
「まーまー。と、このようにこの姿の方が都合良いし。情報入手の為なら何でも使う。それに、信用してるんだよ。喋らないだろお前は、他の奴にはさ」
怪盗が探偵を信用なんてしていいのか?とも思ったが
・・・確かにそうだ。こいつは犯罪者の筈なのに、今の俺には、こいつを警察に突き出そうという気が全く起きない。
「二人だけの秘密〜vてワケで情報ちょーだい♪」
ちゃっかりしてんな・・・。
はしゃぐ君、まるで子供のように。太陽の下で笑う姿がよく似合う。
夜風を受け、飛ぶ白き鳥。凛とした空気、冷涼とした月。
何時の間にかどちらでもいいじゃないかと。
誰とも感じる事の出来ない駆け引きのようなあの緊張感。楽しかった。楽しすぎて勘違いしてしまいそうだ。
まるで麻薬。ずっと続いて行くのだと思ってた。
それは突然、終わりを告げる。
白き鳥が堕ちた夜。
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